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ispace、三度目の月着陸に挑む:純国産の着陸船「ULTRA」をH3ロケットで2028年に

climate2026-08-18 · 1 min read · 1 reads

日本の宇宙スタートアップispaceが、着陸船もロケットも国産という初の民間月面着陸に挑む。二度の失敗を経て、次世代着陸船「ULTRA」で2028年の成功を目指す。

日本の宇宙スタートアップ、ispaceが三度目の月面着陸に挑もうとしている。今回の最大の特徴は、着陸船もロケットもすべて日本製だという点だ。2026年7月29日、ispaceは三菱重工業と、次世代着陸船「ULTRA」を大型ロケット「H3」で打ち上げる契約に合意したと発表した。目標とする着陸は2028年である。

着陸船もロケットも国産

この計画が画期的なのは、着陸船とロケットの両方が日本製である初の月面着陸への挑戦だという点にある。着陸機からロケットまで、供給網のすべてを国内で完結させる体制は、民間の宇宙開発ではこれまで例がなく、日本の宇宙産業にとって大きな節目となる出来事だといえる。

パートナーの顔ぶれも象徴的だ。着陸船を手がける新興企業のispaceと、H3ロケットをJAXAと共同で開発した三菱重工業が手を組む。スタートアップと大手メーカーが連携するこの構図は、日本の宇宙開発のすそ野が着実に広がりつつあることを、はっきりと物語っている。

H3ロケット自体も、着実に実績を積み重ねている。2026年8月10日には測位衛星「みちびき7号」を打ち上げ、これが9回目の飛行となった。度重なる成功によって信頼性を高めつつあるH3は、月を目指すispaceにとって、心強い足場となる存在である。

着陸船「ULTRA」とは

新型着陸船「ULTRA」の名は、「彼方へ」を意味するラテン語に由来する。この機体は、ispaceが過去二度のミッションで用いた着陸船「RESILIENCE」を土台としつつ、現在開発が進められている「シリーズ3」着陸船をベースに設計されている点が特徴だ。

最大の進化は、その輸送能力にある。ULTRAは従来機のおよそ7倍にあたる、最大200キログラムの荷物を月面へ運ぶことができる。この大幅な能力向上により、より大型の商業用ペイロードや科学機器を月へ届ける道が、これまで以上に大きく開かれることになる。

開発は、経済産業省の中小企業技術革新制度(SBIR)による助成で支えられている。政府が民間の月面開発を資金面から後押ししている形であり、月への進出を一企業の挑戦にとどめず、国家的な戦略として捉えていることがうかがえる。大企業だけでなく新興企業にも門戸を開くこうした支援は、宇宙分野の裾野そのものを広げる狙いもあるとみられている。

二度の失敗という教訓

もっとも、ispaceの道のりは決して平坦ではなかった。同社の過去二度の月面ミッションは、いずれも軟着陸に成功していない。月に降り立つことの難しさを、これ以上ないほど痛感してきた企業でもあるのだ。二度の挑戦は、月面着陸という技術の厳しさと、成功までの道のりの遠さを、改めて浮き彫りにしてきたといえる。

とくに二度目のミッションでは、着陸船「RESILIENCE」が2025年6月6日(日本時間)に着陸を試みたものの、着陸シーケンスのあと、管制センターは機体との通信を確立することができなかった。結果は、月面への硬着陸であり、着陸の成功はならなかった。

それでも、失敗の分析からは確かな教訓が得られている。ispaceは、レーザーレンジファインダー(LRF)の異常が硬着陸の最も有力な原因だと特定し、対策の検討と、今後のミッションへの影響評価を終えている。失敗を技術的な知見へと変える作業が、着実に進められてきた。

日本の宇宙開発にとっての意味

ULTRAの着陸が成功すれば、それは日本の商業宇宙分野にとって大きな一里塚となる。民間企業が、国産の技術だけで月に到達できることを証明する意味を持つからだ。それは技術力の証しであると同時に、産業としての宇宙開発の成熟を示すことにもなり、後続の企業や研究機関にとっても大きな弾みとなるはずだ。

背景には、月をめぐる世界的な競争の激化がある。米国のアルテミス計画や中国の月探査、さらに各国の民間企業が相次いで月を目指すなかで、純国産の月着陸能力を持つことは、日本の立ち位置をより確かなものにする戦略的な意味を帯びている。月は今や、科学だけでなく経済や安全保障の観点からも各国が注目する舞台となっている。

200キログラムという輸送能力は、商業的な広がりも意味している。ispaceは顧客のペイロードや科学機器、さらには将来的には月面インフラの一部を運ぶこともでき、いわゆる「月経済圏」の構築へ向けた具体的な足がかりとなりうる。月面での輸送手段が整えば、探査や資源利用など、さまざまな事業の可能性が一気に広がっていくことになる。

二度の苦い失敗を経て、三度目の挑戦にはこれまで以上の重みがある。着陸船ULTRAとH3ロケットとともに、日本は粘り強さと国産技術の力で、2028年、ついに月面への軟着陸を成し遂げられるのかどうかを、いよいよ試そうとしている。その挑戦の行方に、世界の宇宙業界が大きな関心を寄せている。

中村 結衣
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中村 結衣
2026-08-18 · 1 min read · 1 reads
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