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秋の味覚サンマに異変:記録的な海水温上昇が招く歴史的不漁とその理由

climate2026-09-01 · 1 min read · 1 reads

水産庁の最新予報によると、今年秋に日本近海へ来遊するサンマの量は調査開始以来で最も少なくなる可能性があります。背景にある海水温の上昇と、変わりゆく日本の海の姿を科学の視点から読み解きます。

「秋の味覚」の代表格として、多くの食卓に欠かせないサンマ。しかし今年もまた、その塩焼きを気軽に楽しめる季節は、少しばかり遠のいてしまうのかもしれません。日本の秋を象徴するこの細長い銀色の魚が、いま深刻な不漁に直面しているのです。その背景には、静かに、しかし確実に進行する海の異変が横たわっています。

かつては安価で庶民的な魚の代名詞だったサンマは、近年その立場を大きく変えつつあります。多くの専門家は、この変化を一時的なものではなく、気候変動という長期的で構造的な問題の表れとして捉えています。今回は発表されたばかりの最新の予測をもとに、サンマにいったい何が起きているのか、そしてそれが私たちに何を意味するのかを、丁寧に見ていきたいと思います。

秋の味覚に忍び寄る異変

報道によれば、サンマはすでに「高級魚」と呼べる価格帯に足を踏み入れています。店頭では一尾あたり六百円もの値がつく例もあると伝えられており、かつて一盛りいくらという感覚で売られていた時代を知る人にとっては、にわかに信じがたい状況となっています。食卓の定番だったはずの魚が、いつの間にか特別なごちそうへと変わりつつあるのです。

この価格の高騰は、単なる一時的な品薄という言葉だけでは説明がつきません。日本の近海にやってくるサンマそのものの量が、年を追うごとに細り続けていることが、より根本的な原因だと考えられています。漁業に携わる人々の間では、この傾向が今後さらに深刻化するのではないかという不安が、静かに、そして着実に広がりつつあります。

過去最低となる予測

静かに水温を上げていく日本の近海が、そこに集まる魚たちの顔ぶれを大きく変えつつあります。
静かに水温を上げていく日本の近海が、そこに集まる魚たちの顔ぶれを大きく変えつつあります。

こうした懸念を裏づけるように、水産庁は今年の八月二十八日、八月から十二月までのサンマの長期漁海況予報を発表しました。それによると、漁の期間中に日本の近海へ回遊してくるサンマの量は、前年である二〇二五年をさらに下回る見通しだといいます。数字が突きつける現実は、決して楽観を許すものではありませんでした。

さらに深刻なのは、この来遊量が、調査を開始した二〇〇三年以降で最も少なくなる可能性があるという点です。一部の報道では、日本沿岸への回遊量が昨年のわずか四割程度にとどまるのではないか、との見方も示されています。まさに歴史的とも言える規模の不漁が、現実のものとして私たちの目前に迫っているのです。

原因は海の温暖化

では、なぜこれほどまでにサンマは日本の近海から姿を消しつつあるのでしょうか。その最大の要因と考えられているのが、日本近海における海水温の上昇です。海の温暖化は、私たちが漠然と思い描いている以上に、海の生態系そのものを静かに、そして大きく作り替えつつあるのです。

サンマは本来、冷たい海を好み、餌となるプランクトンを求めて広い海を回遊する魚です。ところが海水温が高くなると、その餌となるプランクトンが減少してしまいます。餌が乏しくなった海域をサンマは避けるようになり、結果として日本の近海まで回遊してこなくなるのです。海の温度のわずかな変化が、食物連鎖を通じて、これほど大きな影響を及ぼしています。

変わりゆく日本の海

海の温暖化がもたらす影響は、決してサンマの不漁だけにとどまりません。同じ海の変化を背景として、これまで日本ではあまり多く獲れなかった魚が、各地で豊漁となる現象もあわせて報告されています。その代表的な例が、高級魚として広く知られるクロマグロの存在です。

冷たい海を好む魚が去り、暖かい海を好む魚が新たに訪れる。日本の海では、いま実際に獲れる魚の顔ぶれそのものが、静かに入れ替わりつつあります。長い年月をかけて築かれてきた日本の漁業や豊かな食文化が、気候変動という大きな力の前で、否応なく変化を迫られているのです。

記録を更新し続ける海水温

この一連の異変を象徴するかのように、報道によれば、今月二十二日には世界全体の海面水温が観測史上最も高い値を記録したとされています。海の温暖化は、もはや遠い未来の物語ではなく、まさに今この瞬間に進行している現実の問題なのです。私たちの食卓に起きている変化は、その大きな流れの一つの表れにすぎません。

私たちの食卓と未来へ

気象の予報においても、今年の秋は平年より気温の高い状態が続き、本格的な秋の訪れは遅くなると見込まれています。海と大気の温暖化は互いに深く結びつきながら、季節の巡りそのものにも影響を与え始めています。一尾のサンマにつけられた価格は、こうした地球規模の変化を映し出す、小さな鏡だと言えるのかもしれません。

食卓からサンマが遠のくという身近な出来事は、私たちに海の変化を実感させてくれる大切な警鐘でもあります。この秋、もし店頭でサンマを見かけたなら、その一尾の背後に広がる海の物語に、少しだけ思いを馳せてみてはいかがでしょうか。未来の食卓を守る第一歩は、そうした小さな気づきから始まるのかもしれません。

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