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地下の巨大水槽で宇宙の謎に挑む:ハイパーカミオカンデ、2026年に本格建設へ

science2026-08-29 · 1 min read · 0 reads

岐阜県の山の地下深くで、世界最大級の科学実験が動き出す。ニュートリノを通じて宇宙の根源的な謎に挑むハイパーカミオカンデが、2026年、いよいよ本格建設の段階へと進む。

宇宙のはじまりや、私たちがなぜ存在するのかという根源的な問いに、日本が地下深くから挑もうとしている。岐阜県飛騨市の山の下、地下六百メートルで建設が進むのが、次世代の巨大観測装置ハイパーカミオカンデだ。ほとんど質量を持たず、物質をすり抜けてしまう幽霊のような素粒子「ニュートリノ」を捉え、宇宙最大級の謎に迫る世界屈指の科学プロジェクトである。

スーパーカミオカンデの後継機

ハイパーカミオカンデは、その名の通り、あの有名なスーパーカミオカンデの後継機にあたる。先代は小柴昌俊氏と梶田隆章氏に二つのノーベル物理学賞をもたらした伝説的な装置だ。新しい装置は、観測の心臓部となる有効体積が先代の約八・四倍にも達する。東京大学が主導し、世界各国の研究者が参加する一大国際プロジェクトとして進められている。

26万トンの超純水

巨大な地下空洞では、水槽と検出器を組み上げる精密な建設作業が続いている。
巨大な地下空洞では、水槽と検出器を組み上げる精密な建設作業が続いている。

この装置の要は、なんと二十六万トンもの超純水をたたえる巨大な水槽である。ニュートリノが水中でごくまれに起こす、かすかな光の反応を捉えるためだ。装置を収める巨大な地下空洞の掘削は、当初の計画より約半年遅れたものの、二〇二五年七月に無事完了した。そして二〇二六年からは、水槽内部の検出器構造の建設と、無数の光センサーの設置がいよいよ本格的に始まる。

2028年、観測開始へ

今後のスケジュールも明確に描かれている。すべての機器の設置は二〇二七年に完了する予定で、その後、巨大な水槽をあの超純水で満たしていく作業に移る。そして実際の観測が始まるのは、二〇二八年になる見込みだ。壮大な地下空間が本物の実験装置へと姿を変えていくまでには、まだ数年にわたる緻密な作業の積み重ねが必要となる。

何を解き明かすのか

では、これほどの装置で何を探るのか。最大の目標の一つが、なぜこの宇宙に反物質ではなく物質だけが残ったのかという難問だ。ニュートリノと反ニュートリノの微妙な振る舞いの違いを精密に測ることで、その手がかりを探る。さらに、物質の最小単位である陽子が崩壊する現象の探索や、遠い星の超新星爆発が放つニュートリノの観測など、教科書を書き換えかねない発見が期待されている。

ハイパーカミオカンデは、ニュートリノ研究で世界をリードしてきた日本の伝統を受け継ぐ、十年がかりの巨大プロジェクトだ。二〇二八年の観測開始を待つということは、宇宙の成り立ちに関わる、ノーベル賞級ともいえる新たな発見の瞬間を待つことにほかならない。地下の静かな水槽の中で、人類の知の最前線が今まさに築かれようとしている。

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